Shadow

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胸がズキズキと痛む。 嫌だ。……嫌だ。そこは、駿の隣は私の居場所だったのに…。私だけの場所なのに。 このままが続けばいいと言ったくせに身勝手な独占欲を持つ自分に嫌気が差す。 幼馴染のままでいたいということは、駿にもいずれ幼馴染(わたし)よりも大事な彼女(ひと)ができるということだ。……なのに、身勝手すぎる。 隣に立つのを許すのは自分だけであってほしかったなんて。 『綾崎君が他の誰かと付き合ってもいいの!?』 花音の言葉を思い出しながら、痛む胸を服の上から掴む。 嫌だ、他の誰にも渡したくない。 いつも自分の隣で笑ってくれた駿。いつも自分を守ってくれた駿。いつも自分を励まし、支えてくれた駿。 ああ…、そうか。私は、──私は駿のことが好きだ……。 その次の日の朝だった。 靴箱で秋野さんに声を掛けられ、振り返る。 「あたし、綾崎君と付き合うことになったから。 幼馴染だからって、もう彼に付きまとわないでよね」 それだけ宣言してスタスタと自分の教室へと歩いて行った。 好きだと自覚した途端に失恋し、その日は授業もうわの空だった。 そして、次は私が駿を避けるようになった。
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