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次の日から駿の態度が素っ気なくなった。
話し掛ければ普通に返してくれるのだが、明らかに避けられている。
毎日一緒にしていた登下校も「先に行って」と言われ、放課後は用事があるからと先に帰らされた。
言いようのない落ち込みに自分の机に突っ伏す。
何だろ、これ。めちゃくちゃモヤモヤする。
突然、避けるって何?この前のあの事、怒ってるのかな?そんなに私、酷いこと言ったのかな…。
「涼。顔死んでるけど、どうしたの?」
「いや、何でも……」
「何でもっていう感じじゃないんだけど…?
何?綾崎君とケンカでもした?」
「いや、ケンカというか……」
ケンカよりよくない状況のような気がする。ケンカしてるわけじゃないから「ごめん」と謝るのはおかしい。かといって、掘り返すこともできない。
「ちゃんと繋いでおかないと取られても知らないよ?」
「え…?」
花音の意味深な言葉に顔を上げる。
花音は廊下を指差すと教えてくれた。
「綾崎君と同じクラスの秋野、綾崎君のこと狙ってるんだって」
ガタンと椅子をなぎ倒す勢いで席を立つと、廊下へ飛び出す。
そこには荷物運びで歩く二人の姿があった。
彼女は楽しそうに駿に笑いかける。ふと、その顔がこちらに振り向く。
彼女は勝ち誇ったように笑みを強くした。
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