4人が本棚に入れています
本棚に追加
避けることが2週間ほど続いた日の昼休み。
私は、同じクラスの男子に校舎裏に呼び出され、
「ずっと好きでした!俺と付き合ってください!」
まさかの告白をされました。
「あの、高岡君。
気持ちは嬉しいんだけど…」
「あー、待って待って!
園田さんが綾崎のことどう思ってるかは知ってる。
でも、付き合ってないなら、まず俺のこと知ってほしいんだ。
それから返事を聞かせてほしい」
彼のまっすぐな心に何も言えなくなり、「分かった」と返事をした。そして、LIMEを交換する。
「じゃあ、また連絡するから!」
彼はそう言って一足先に教室へと戻って行った。
教室に戻ろうと階段を上っていた私の頭上に声が掛かる。
「涼ちゃん」
声だけで誰か分かる。それほど長く私達は一緒にいた。
呼ばれた声に顔を上げると、階段の1番上に駿がいた。
答える前にくるりと背を向けて逃げる。
「待って!」
素早く追いついてきた駿に手首を掴まれ「離して!」と抗う。
それでも駿の手はびくともしない。
「ずっと僕のこと避けてるよね?
どうして?僕、涼ちゃんに何かした?」
「別に避けてないよ。
だいたい、それを言うなら駿もでしょ?駿も私のこと避けてたじゃん!」
「あれは……!」
「別にもう私には関係ないからいいよ!
駿、秋野さんと付き合うことになったんでしょ!?
なら、私にかまわずに彼女のとこ行きなよ!!」
「何それ…。秋野さんがそう言ったの?」
心がザラザラする。
苦しい、悲しい。
どうして、あなたのことを好きだと気付いてしまったんだろう…。
気付かずにいられれば、幼馴染でいられたのに…。傍にいられたのに……。
「そうだよ!!
もう、離して!!」
駿の手から逃れようともがくと、スポンと腕が抜けた。反動で身体が後ろに倒れる。階段だったため、踏み場をなくした足がカクンと折れた。
「涼ちゃん!!」
駿の焦った声が響くのと同時に体を鈍い痛みが襲う。階段から落ちたのだと気付き、駿の心配するような声音が耳でこだまするのと同時に、私は意識を失った。
最初のコメントを投稿しよう!