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あなたはずっと私の憧れで、私の光だった。
隣に住む幼馴染の『綾崎駿』。
家族ぐるみで仲が良くて、私達が産まれる前からのつき合いらしい。
だから17年間、駿とはいつも一緒だった。どこへ行くのも何をするのも。
そして、気弱でいじめられっ子だった私を、いつも駿は守ってくれた。だから私は、心強いあなたのことを、兄のように思っていたんだ。
━━━━「涼〜」
自分の席に座ろうとしていた私は、友人に名前を呼ばれて振り向く。
「花音、どうしたの?」
椅子に座りながら応答すると、花音は興奮気味に捲し立てる。
「綾崎君って本当にカッコイイよね!
さっきね、重い荷物持ってた私のこと、助けてくれたんだよ!」
「そうなんだ」
昔から彼は困ってる人がいたら放っておけない性分なのか、人助けは日常茶飯事。
彼にしたらこれも普通のことなんだろう。
「眉目秀麗、文武両道、優しくて気遣いもできる。まさに完璧だよね。
あんな人が幼馴染なんて涼が羨ましいよ〜。
好きになったりしないの?」
「まさか!兄のように尊敬はしてるけど、恋愛感情なんてないよ!」
慌てて両手と一緒に首を横に振る。
「え〜!!私なら、絶っ対好きになるけどなぁ。
だって、カッコよくて頭よくて優しくて強くてカッコいい人が傍にいるんだよ!?どうやったって好きになっちゃうよ!」
カッコいいって二回言った。
「って、言われてもなぁ…」
苦笑いを浮かべると、「涼ちゃん」と名前を呼ばれる。
「駿」
「今日、一緒に帰ろう」
「いいけど、今日掃除当番だから遅くなるよ?」
「いいよ。
じゃあ僕、靴箱のとこで待ってるから」
「うん、分かった」
「後でね」と言って、駿は隣のクラスへ帰っていく。
「未だに登下校一緒なんでしょ?
綾崎君って、涼のこと好きなんじゃないの?じゃなきゃ、毎日一緒に帰んないでしょ?」
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