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紫陽花×ジューンブライド
ある日、武志と寛子の長女香織が
花嫁の結婚式の髪結いを頼まれたのだ。
花嫁は、香織と高校の同級生で親友であった。
「花嫁になる女性の髪結いをしたい」
と香織が武志と寛子に話したのが
美容師として仕事をしたいと言った
きっかけであった。
それは、6月の花嫁と言われる
ジューンブライドは幸せをもたらす
という女性の憧れであった。
「小百合、幸せになってね。
ジューンブライドになれて、
あんたは幸せだよ。
あたしは、まだまだ先になるけどさ。
こうして、花嫁さんの
髪結いができるのが一番の幸せだよ」
「香織、あんたに髪結いをして
もらってうれしいよ。
いつか、言ったよね?
美容師になったら、
あたしの髪結いをするからねって。
ありがとう、香織。
あたし、あんたの分まで幸せになるよ」
小百合には、わかっていた。
プロの美容師としての資格を
持っていながら、事故に遭った
母寛子のためにウィッグの美容師として
仕事をすると決めたことを…。
「香織、おばさんが元気になること
祈っているからね」
そして、小百合の結婚式が始まった。
教会での結婚式だったが、
この日は雨が降っていた。
それでも花嫁のブーケトスを
待っている女性がいた。
そして、小百合は
自分のブーケを投げた。
小百合のブーケは、
小夜子が紫陽花で
ブーケをつくったものであった。
そして、そのブーケを取ったのは
香織であった。
これは、小百合の
最後の優しさだったのだろうか?
香織は、紫陽花のブーケを見て
親友である小百合の幸せを祈っていた。
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