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04 庵side (風紀)
よかった。どうやら羽柴の体調は回復したみたいだ。羽柴からの返信メールを確認してホッとした。
「それにしても……」
羽柴らしい絵文字も何も使わないシンプルなそれを見て、何故だか心がほっこりした俺だった。
「保護、完了……と」
おまけに自動的に削除さることがないように、しっかりロックまでしてしまう。何しろ羽柴からのメールなんて貴重なもの、しかも羽柴から俺への初メールだ。
昨日はどうもありがとう。
もう大丈夫だ。
この二行を打つのに、不器用な羽柴はきっと散々悩んだはずだ。そう思うと、こんなにぶっきらぼうな文面でも堪らなく可愛く思えた。
このメールにも返信したいが、ぐっと我慢する。きっとまた、返信する文章を作成するのに悩むはずだから。
いまだガラケーの羽柴とは、残念ながらLINEが出来ない。ガラケーからでも出来るようだが、そもそも羽柴は携帯電話は連絡手段としか見てないだろう。
「そういや……」
鷹司も確か、まだガラケーだっけか。ただし、鷹司の場合は鷹司から連絡しなくとも周りが放っておかない。鷹司の傍らにはいつも誰かがいて、絶えず鷹司を狙っている。
つまりは鷹司の場合、緊急時以外は椿野に無理矢理持たされたらしいガラケーでさえ使ってないってわけだ。
早々と昼食を食べ終えた俺は、羽柴以外の生徒会のやつらがたむろしている屋上へと向かった。きっと今日もあいつはそこにいて、退屈そうな顔でフェンス越しに生徒会室を覗いているだろう。
「やっぱここにいたか。バカ司」
案の定、決して晴天とは言い難い曇天模様の空の下、鷹司はフェンスにもたれて所在なげに空を見上げていた。
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