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[第1章]生徒会長始めました
※この物語はフィクションです。実在する人物、団体、学校、その他には一切関係ありません。
* * * * * * *
『羽柴翼を生徒会、会長に任命する』
思えば前会長のそんな一言が全ての始まりだった。放課後の生徒会室。時刻は既に21時を越えている。生徒会室にいるのは俺一人。他のメンバーは先に帰っただとかの次元じゃなく、もう一週間も誰一人として顔を出さない。
(……別にいいけど)
自分で言うのもなんだが、俺が会長に任命されたのは当然のことだ。うちの学校は前期会長が次期会長を任命するのが習わしで、俺は一年生ながら生徒会補佐として主要メンバー達の補佐をやっていたから。まあ、補佐と言っても雑務だけど。
その流れで生徒会の職務の経験がある唯一の二年生である俺は、前会長から今年度の会長に任命された。当然、唯一の経験者である俺が他のメンバーに仕事を教えることになるのだが、言うまでもなくこれが他のメンバーの気に障ったんだろう。
うちの学校の会長は前会長の任命によって選ばれ、それ以外の主要メンバーは総選挙で選ばれる。ちなみに選挙と言ってもどうしても人気投票になってしまい、抱かれたいランキングと抱きたいランキングの上位者が軒並み当選することになる。
その中で適任適職を見つけて会長が役職を振り分けるんだけど、これは割と簡単に決まる。問題はそれらのメンバーにどうやって仕事を教えて行くかで、なまじっかプライドの高いメンバーだけに、これがかなり厄介なのだ。
なんと言っても俺は、とある電機機器メーカーの代表取締役の息子に過ぎない。その電機機器メーカーは、日本国内に限ってはそれなりのメーカーで世間一般では御曹司と呼ばれる立場だが、いかんせんこの学校に限っては立場は弱い。
そんなやつに役職を振り分けられた上に仕事を教えられるなんて、きっとプライドが許さないんだろう。
例えば副会長の家柄は全国に門下生を持つ有名な茶道の家元で、固定資産も合わせるとかなりの財産を有するらしい。茶道のことはさっぱりわからないが、私有地を貸し出すこと(不動産)でもかなりの収入を得ているようだ。
ネームバリューは世界に及び、上流社会で椿野の名前を知らないものはいない。その勢いは国内に限らず、世界各国に有名セレブの門下生がいるらしい。
何より厄介なのが元財閥で世界に誇る大企業、鷹司グループの御曹司で、俺はこの男を書記に割り当てた。この男は本来なら会長に最も相応しい男で、そのカリスマ性を含む強い影響力を考えても会長に任命されなかったのが不思議なぐらいの男だ。まあ、執行部での経験がないから仕方ないが。
他にも、うちのメーカーとは比べものにならないぐらい世界的に有名な電機機器メーカーの御曹司もいる。
『………』
初顔合わせでそんなメンバーを前にした俺は、思わずその場で固まってしまったっけ。
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