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「……なんの用?」  日向は一言で言ってしまえば所謂チャラ男キャラで、嫌われていることを抜きにしても出来れば近付きたくない人間だ。いつも間延びした気の抜けた口調で話すくせに、俺に向ける言葉は当然だけど酷く冷たいもので。 「仕事、手伝ってもらおうと思って」 「はぁ?! なんで俺が……」  お前が会計だからだよと言ってやりたい言葉を飲み込んで、 「これに目を通してくれるだけでいいから」  そう言って、日向に今朝仕上がったばかりの資料のコピーを手渡した。 「……これってさ。俺の仕事?」 「え?」 「会計の」 「いや。会計の仕事ってか、どっちかと言うと皆でする仕事かな。新歓の構成案だから、出来れば他のメンバーにも回して意見を聞かせて欲しい。駄目出しでいいから」 「……」  黙っていても目立つ日向と俺を行き交う生徒がちら見して来る。会話の内容までは聞かれないだろうけど、長時間ここにいるのはまずい。 「あのさ、ごめんな」 「……は?」 「生徒会から追い出して。お前、せっかく全校生徒から役員に選ばれたのに」 「……っっ」  取りあえず、ずっと気になっていたことを口にした。俺が会長になったことや皆をそれぞれの役職に振り分けたことに関しては謝れないが、結果的に追い出すような形になったのは確かだ。 「それだけ」 「待てよ!」  そう言って生徒会室に向かおうとした腕を引かれ、俺は日向を振り返った。 「……もう大丈夫なのかよ」 「へ? なにが?」 「体調」  どうやら倒れたことを心配してくれていたようで、その一言にホッとした。 「もうすっかり。ピンピンしてるよ。ありがとな」  日向の肩を軽くぽんと叩き、今度こそ生徒会室へと向かう。日向の視線を背中越しに感じたが、今度は立ち止まらずに前に進んだ。
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