第三章

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「……私が、どれだけ……父を亡くしたことが、どれほど(こた)えたのか……」 会って食事をしたばかりだった、父の優しかった笑い顔が浮かんだ。 「……父を失った悲しみの、私にはやり場もなくて……」 なぜ、もうあの人はいないんだろうかと…… 「また業務に戻れば、忘れていけるとも思っていたのに……喪失感は、より強くなるばかりで……」 受け留め切れない気持ちが喉を苦くせり上がり、ふーっと長く息を吐いた──。
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