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数年後ー
彼と私に、もう1人家族が増えた。
小さな手を握り、「マーマ、パーパ」と愛らしい声。
女の子は、私によく似た瞳と彼の鼻筋。
「おじさんとおばさんも、孫ができて喜んでたね」
「……そうだな」
彼が私に告白し、離れ、再会し結ばれるまで。
彼の両親は、何度も彼を説得をした……私の母がした事を思うと辛くなって涙した。
親友の母が、連絡してきたと思えば小さな私を彼の両親に預けて姿を消した。
母が今、どこで何をしているか? 私は知らない。
別れ際の母の辛そうな顔、首に掛けた指輪のネックレス。
彼も、彼の両親も、周りの冷たい視線を受けてきた。
今、私たちは幸せを噛み締めている。
橋を渡り、隣の街の家に帰る。
「……もう1人は、欲しいな」
「えっ?!」
「君との子ども……」
顔を赤らめ頷く。
小さな娘は、こてんと首を傾げると嬉しそうに笑う。
「ほら、きょうだいが欲しいみたいだ」
「〜〜っ……私も、あなたとの子どもは欲しい……けど」
「けど?!」
「今、言うの?」
「じゃあ……この子が寝たら、たっぷり……な?」
ますます赤くなり顔が熱い。
夕焼けの橋を渡りきり、空を見上げた。
彼の笑顔と娘の笑顔。
来年には、また1人。家族が増える予感がした。
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