遠くへ……

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遠くへ……

 遠くへ行きたい。唐突に思った。  失恋をしたわけではない。仕事で失敗をしたわけでもない。家族を失ったからというわけでもない。ただ、ふと思ったのだ。誰もいない場所へ行きたいと。  でも、そんなことできはしない。誰もいない場所なんて、それこそ秘境の地くらいしか、ないだろう。そんなところへ行ったら、よくわからないウイルスに殺されそうだ。  誰もいない場所が無理なら、せめて自分の知っている人間がいない場所へ行くのが最適解。では、どこへ行く? いざ、行こうとすると、行く場所が思いつかないものだ。そしてもう一つの問題点、時間とお金がない。あ、これでは二つだ。  まぁとにかくこれらのことがあるから、なかなかどこかへ行きたいと思っても難しい。  だが、それらの問題点を解決し、遠くへ行った気分を味わえるものがある。それはなにか。ずばり、「本」だ。  読むものによっては、いろいろな世界に連れていってくれる。異世界や、過去の時代。現実では味わうことができなかった青春時代。現実の世界が舞台でも、決して自分では進みようがない分野の仕事もの。本当に、いろいろだ。  本を開けば、一瞬でそれらの世界に連れていってもらえる。  現実ばかりに固執していたら、いつか壊れてしまう。だからこそ、現実から離れて、一時でも旅行気分を味わってみてはいかがだろうか?
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