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「涼っ!!!良いですね?あなたは失えない。どうあっても、抗って生きると誓いなさいっ!」
頬を張られたような姉の喝に、目を瞠った。
自分と同じ眼をしているのに、まるで自分とは違う眼だと思っていた。
なのに、どうしたことか。
今はまるで同じ、誰かに縋る目に思えた。
姉の瞳に映るのは同じ顔をした己だ。
(姉は俺に?この俺に縋っているのか……?)
「涼っ!!!」
悲痛に顔を歪めて、名を叫ぶ。
(お願い、助けて……)
そう、聴こえてしまった。
「……わかった。生きるよ」
誓えば、くしゃくしゃな顔をして、これで事態は好転したとばかりに莫迦な姉は笑った。
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