一章 天狗の仕業

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「あたし、朝シャンは必須なのよね。よっちゃん探してたから朝シャン出来なくて頭が痒いのよね。一緒にお風呂入ろ?」 「嫌だよぉ…… 一人でいいよぉ……」 義圭の拒絶にも関わらずに紗弥加は手を引いて脱衣場に連れ込んだ。12歳と15歳、それも男女、一緒に風呂に入る年齢ではない。紗弥加の方は義圭のことを心から愛する弟のように接しており、別に裸を見られても恥ずかしいとは思っていない。義圭は12歳と性徴の始まりかける年齢故に、憧れのお姉ちゃんである紗弥加に裸を見られることは極めて恥ずかしいと考えている。 「ささ、脱いだ脱いだ」 義圭の目の前で、自室で着替えるかのように平然と服を脱いでいく紗弥加。 義圭は赤面し顔を背け脱衣所から出ようとする。 「や、やっぱりいいよ! もう体温まったし!」 「何を意味わからないこと言ってるのよ」 紗弥加は一糸纏わぬ姿で義圭の手を引いて脱衣所に押し込み、そのまま流れるように義圭を素裸に剥いてしまった。義圭は素裸を晒し、あられもない姿で紗弥加の前に立つことになってしまった。 紗弥加は舐めるように義圭の裸を隅から隅まで見回す。 「何よ、小学校四年生の時とあまり変わってないじゃない」 紗弥加は義圭の裸を見て鼻で嘲笑った。これだから嫌だったんだよ! 義圭は頬を太陽のように真っ赤に染めながら湯船に飛び込み、口を湯に沈めブクブクと蟹のように泡を吹いた。 「湯船に入る前には体ぐらい流しなさいよ?あなたは銭湯に行って体も流さずに湯船に入るルール知らずなの?」 紗弥加は訝しげな顔をしながら、シャワーを義圭の頭にかけた。義圭は慌てて顔を塞いでしまう。 「うるさいなぁ」 「(うち)のお風呂だから許してあげる。銭湯だったら、お爺ちゃんに頭蓋骨が凹むぐらいの拳骨されるわよ? よぉく覚えておきなさい」 紗弥加はこう言いながらバスチェアに座り、シャワーで髪を濡らし、髪を洗い始めた。 紗弥加の両手は髪を洗っている故に頭の上にある。義圭は湯船の中より露わになった胸を眺めた。義圭は彼女の胸を見て鼻息を荒くする、スーパー銭湯の男湯に入ってくる同じクラスの女子の平たい胸でもない、インターネットでうかつにも見てしまったエッチな画像でもない、本物のおっぱいが目の前にあることに並々ならぬ興奮を覚えていた。 人間、視線は感じるもの。紗弥加は胸を注視する義圭の視線に気がついた。 それからスポンジにボディーソープを付け体を洗いにかかった。義圭はその一部始終から一瞬たりとも目を離すことはなかった。 「じゃ、次はよっちゃん洗おうか」 「いいよぉ…… 一人で洗えるよぉ…… 子供じゃないんだから……」 「いいからいいから、珍しく一緒にお風呂入ったんだし、お姉ちゃんに親切させてほしいな」 紗弥加は自らに付いた泡を洗い落とすと、湯船の中から義圭の両脇を掴み、湯船から引きずり出した。露わになった義圭の股間を見て「ふふふ」と微笑む。 「あ、可愛い天狗になってる。あたしの握り拳の中に収まるぐらいの大きさで可愛い」 義圭は赤面した顔を歪め、再び湯船の中に入り込んだ。 結局、この入浴で義圭は体の隅から隅まで隈無く、紗弥加に観察された上に、体を洗われてしまった……
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