知らないでしょ?

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知らないでしょ?

 そんな目を楽しませる私達への待遇はと言えば、基本的には二通り。  良い子はお家の中だったけれど、外に締め出されたままの子達も多いわ。  ご主人様達は皆、サディストなのよ。    この時期、私達はどの子も皆、多かれ少なかれドレスアップしているわ。期間中は24時間ノンストップ、休みなしなのよ?  たくさん着飾った子は、肩こり、腰痛に悩まされ、時には腕を骨折、なんて悲劇もあるわ。  そして(あた)りが暗くなれば、私達はキラキラと輝く。  ご主人様達は、まぁ綺麗ねと、うっとりと私達を鑑賞するわ。時にはそのムードに酔いしれて、いちゃいちゃし始めたりするの。  そうそう。どうやら私達の下でキスをすると、結婚の約束を交わしたことになるとか。この時期に私達の下でキスを(こば)むと、翌年は結婚のチャンスがなくなるなんて言われがあるらしいのよ。  でも、それは私達に「ヤドリギ」が寄生(きせい)していた場合。  寄生されていない私達の下でいくらキスしまくっても、祝福は受けられないわよ。  そんな輝ける私達。  周りの目も気にせずいちゃつくカップルを眺めながら、苦労しているの。    とにかく、ドレスが重い。  しかも夜になって輝き始めたら、とにかく熱いのよ。ピカピカキラキラ輝いて、それは綺麗で幻想的な晴れ舞台ではあるけれど、心の中では叫んでるの。  「私を見て!!」  じゃないわよ?そんな(つつし)みのない下品なことはしないわ。いや、たまにはそんな変わった子もいるかもしれないけれど。  「熱い、火傷(やけど)する。体中に(ろう)()らされたみたい!!」  今、何を想像したの?あなた、実は変態なんじゃない?  いいこと?最愛の彼女にそんなことしたら、よほどその彼女が変わった(くせ)をお持ちでない限り、白くて冷たい、軽蔑(けいべつ)眼差(まなざ)しを浴びることになるわ。  クリぼっちは、覚悟するのね。
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