ハレの季節――

ク・ギ・ヅ・ケ

　そろそろ準備が始まったようよ。
　キラキラ着飾った仲間たちが、あちらこちらに出現してきたわ。誰が一番人の目をくぎ付けにできるかを、競(きそ)っているの。
　その様(さま)はまるで、期間限定の看板娘ね。

　割り当てられた場所によっては、一番目を引く子がお持ち帰りされることもあるわ。但(ただ)し、表に出ている子じゃなくて、裏に控えている瓜二(うりふた)つの妹が、だけど。

　表に出ている子？
　裏に控えている瓜二(うりふた)つの妹が誰もいなくなったら、ようやく彼女の番なのよ。一番損な役回り。
　だって、広告(こうこく)塔(とう)として一番よく働いて、人の目を一生懸命に引いたのは彼女なのに、下手をしたら彼女、安く買い叩かれてしまうんだもの。新品じゃないからってね。

　買い叩かれたあとどうなるかって？
　うふふ。そんな野暮(やぼ)なことお聞きにならないで。そんなの決まってるじゃない？ご主人様にドレスアップさせられて、その目を楽しませるためだけに輝き続けるのよ。

　お仕事期間中、ずっとよ。
　輝いている間は、ご主人様は私達を上から下まで舐(な)め回すようにご覧になるわ。時々、暗い方が綺麗だなんて言って、部屋の明かりをそっと消すの。
　恥ずかしがってる場合じゃないわ。そんな時こそ、私達の見せ場なのよ。