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どういう了見なのだか自身の恋敵となる新手の客を、玉露が頼みもしないのに次々と引き入れる妙な癖のある猪田であるが、
何も毎度毎度ドンチャン騒ぎの宴会仕様というわけではない。
時にはこうして二人きりでしっぽりしようと一晩買い切ることもある。
が、残念なことに必ずしも『しっぽり』とはならないのがこの男。
少なくとも現状に於いては『しっぽり』どころかデロンデロンに酔わされている。
これでは勃つものも勃つまいて。
閨を供して勃たれもしなければ、玉露としても沽券に関わるのであるが、どうせ相手は猪田である。
ええい儘よ、知らん知らん、とそんな具合だ。
なぁに、構うことはない。
繰り返すが相手はどうせ猪田である。
否。
幾らなんでもそれでいい道理などありはしない。
まだ日の浅い客などで陰間が共寝を許さなかったのなら兎も角も、
足繁く通う上客で既に何度となく枕を共にした間柄。
その相手が同じ褥で朝を迎えるつもりで金子を落としているのに、酔い潰れさせてハイお終いなどと、そうは問屋が卸さない。
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