1693人が本棚に入れています
本棚に追加
「犀ー!久しぶりだね会いたかった!犀の作ったサバの味噌煮が食べたい!」
「大袈裟だな、たかが丸1日会わなかっただけだろ」
犀の寮の部屋のインターフォンを押すと、すぐに部屋の主は現れて扉の隙間から困った様に眉を垂れさせながら、笑顔で部屋へ招き入れてくれる。
「ん!なんかご飯作ってる!僕も食べたい」
「あー、今日は肉じゃが。あとなめこの味噌汁となすの揚げびたしだけど」
「うわー、僕が来るって分かってたかのように僕の好物ばっかり」
「それは知らん。もうすぐご飯炊けるから食うなら座って待ってろ」
言われた通りに部屋の中央にあるローテーブルの前に座る。
キッチンの方からは肉じゃがの香りと味噌汁の香ばしい香りが漂ってきてとても食欲をそそる。
実は昼間に食べてたメロンパンが今日最初の食事だったから...
犀の部屋に着くまでずーっとの中がぐるぐる鳴っていたのだ。
この匂いで更にお腹の音がぐるぐる加速している。
「ん、おまたせ」
「ありがとマイワイフ」
「どちらかと言えばワイフはお前だ」
良いから並べろと器用に足の指で抓られた。
犀絶対舌でさくらんぼのヘタ結べるだろ。ちょうちょ結び出来るだろ!
「いただきまーす!」
「いただきます」
まずは肉じゃがのじゃがいも。
これに芯が残ってないか、または橋で掴めないほどグズグズになってないかで上手い下手が分かれる、お椀に入ったじゃがいもを軽く箸で掴み、力を加える。
すぐに崩れるでもなく、固くもなく軽い力でほろっと半分に割れていく。
断面は3分の1ほど出汁が染みていてとても美味しそうだった。
半分に割ったじゃがいもをご飯の上で軽くバウンドさせて(出汁が垂れちゃうからね)口へと運ぶ。
「ん、おいしー!」
「全部口から漏れてんぞ。食レポごっこしてねぇで食べろ」
なんだ、恥ずかしい。
それからは軽く犀と雑談を混じえながらゆっくりと食事した。
「ご馳走様、美味しかった。洗い物はするね」
「ん?別に良い。生徒会の仕事で疲れてんだろ?ここで寝てくんだろどうせ、とっとと風呂入ってこい」
「えっ……マジで良妻...結婚待ったナシ..お風呂入ってくる」
「はいはい」
そしてその日はそのまま犀の部屋で寝た。
最初のコメントを投稿しよう!