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ふたり
「さぁ、起きて、今日も快晴だよ。……あ、そうそう雪が積もり始めたんだ。」
温かな手が頭に添えられるのを感じる。同居人で、大切な友人であるソラの手は温かくて大きい。じんわりと伝わる体温に、ひどく安心する。
ソラは私におはようの挨拶よりも、決まって今日の天気を告げる。昨日は晴れだとか、雨がざんざん降りだとか、そんな具合だ。
たまに天気のことについて豆知識を披露してくれることもある。私の疑問にだって、必ず答えてくれるのだ。天気のことだけではなく、一風変わった質問でも、専門的な知識を必要とするであろうことにも、必ず答えてくれる。ソラは博識だ。
ついこの間も、星のことについて尋ねた。
「ねぇ、星ってどこから来てるの?」
「地球の外、遠い宇宙から来ていて、今瞬いている星々は、何万年も前に燃えたものなんだよ。燃えている温度によって、色も違う。色とりどりの宝石みたいにね。それとね、星と言っても色々な種類があるんだ。太陽だって星なんだよ?」
「太陽も星なんだ!じゃあ、星と太陽は同じ星なの?」
「同じ星さ。空に見えているほとんどの星は、恒星と言うんだ。ガスでできていて、自分でキラキラ光るんだよ。他の星はね___」
こうして私は色々と教えてもらっていた。だが、星のことでも、それ以外でも、ソラは私にある一定以上のことは教えてくれなかった。多分、私には内容が難しすぎて、いくら説明しても理解が出来ないからだろう。それが不思議と、なぜか心地が良くて、私も深く追求はしなかった。
体温をまた再び感じた。
私は寝ぼけていると、どうしても昔のことを思い出してしまうらしい。
「おはよう。」
「おはよう!」
「ぐっすり眠れたかい?」
「勿論。それよりも、今日は外に出られそう?雪を触りたいの。ソラも一緒に雪だるま作ろ!」
「今日は寒いから外に出るのはやめておこうか。わざわざ外に出向かなくても、雪なら僕が取ってきてあげるから。ダメかい?」
「ダメ、じゃないけど。……じゃあ明日なら出られる?どうしても外で遊びたいの。」
自分でも驚くほどの、不機嫌そうな声だった。眉間にしわが寄っているのがわかって、慌てて指でほぐす。
外に出て遊びたいだけなのに、ソラはいつも部屋にいなさいと言う。私ももうそれ程小さな子供ではないのに、ソラが私の近くにいられるときでないと、外へ行くことが出来なかった。幼稚園のお昼休みみたいな感じだ。
「どうだろうね。さ、お腹が空いているだろう?シチューを作っておいたよ。パンも温めて置いてあるからね。1人で食べられそうかな?」
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