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惑わして奪ってしまうのではないか、と女子高生ながらもなかなかのお局っぷりな危惧をもって。
そのような奇妙な深層心理からか、最近、本人は気づいていないが、ケンカした時は以前よりも、秋彦の謝り待ち、の時間を気にして、自分から謝ろうとする気持ちが強い機会が多くなっていた。
それは付き合えば付き合う程、秋彦の事を春香が好きになっているから。
結局は秋彦の方から謝ってくるパターンは延々と変わってないが、春香はそんな秋彦の態度も含めてどんどん好きになっていく自分の事は分かっていた。
私は秋彦が大好きなんだ。
だからこそ矛盾しているが、秋彦に春香は素直に振る舞えない。秋彦に対して正直になれない。春香はそう思慕する。
好きの裏返しは嫌い? それとも嫉妬? 戸惑い?
現代JK情勢は複雑怪奇なり、とでも言うべきか、春香の女心は揺れていた。
そして、春香が揺蕩(たゆた)う末に頭に浮かんだのは秋彦と紡いできたメモリー。
春香と秋彦は小学生からの近所付き合いの仲。言わば幼なじみ。そのまま同じ学区の中学に通い、何気に卒業式に春奈の方から秋彦に、好き、と告白して二人は恋人同士になった。そして、高校も一緒。無論、それは偶然ではなく別に入りたい希望の高校などなかったので、別段、勉強は出来る方だった春香は、大概の進学校に受かるポテンシャルは持っていた事から、小学生時代以来ずっと片思いしていた秋彦の受ける高校を志望校とし、やはり自分の予想通り受かった。問題は秋彦がその高校に受かるか受からないかのラインだったので、それが春香の一抹の心配であったが、何とか秋彦も合格して、二人仲良く同じ高校に進学したのだった。もし、秋彦が受験失敗などしていたら、自分が後々三年間その高校に通う理由などほとんど無いので、一緒に合格したばかりの当時は、ふぅん、私と同じ学校だね、たまたま、などと嘯(うそぶ)くように春香は秋彦に漏らしたが、内心は安堵の気持ちで一杯だった。その後、テンション高めの春香の勢いよろしく卒業と同時の告白に到り、秋彦との恋愛が発展していく。
純粋な友達同士の付き合いから、恋人同士への連れ添いへの変化。
今思えば、秋彦にフラれていれば、せめて男女の友人として続けられていたものか、とやにわに背筋を震わせた春香であった。
そして、春になり、公私ともに新しい充実した生活が始まった。同じ高校に通えど、残
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