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「俺が詩織を治してみせる」
俺は彼女を連れて様々な場所を巡った。全部、二人の思い出の場所だ。
詩織のお気に入りのカフェ、イルカに水を掛けられずぶ濡れになった水族館、夜景を見ながらキスをした遊園地、動物園、映画館、本屋……
周りながら、俺は語った。過去の楽しかった思い出、どれだけ詩織を大事に思っているか、二人で話した憧れの家庭など。
ーーでも、ダメだった。何を言っても、どこへ連れて行っても、彼女はただ感情のない瞳で俺を見ているだけだ。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
罰が当たったのか?
そうだ。みんな言うじゃないか。大切なものはいつだって失ってから気付くって……
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