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第1話 かごめかごめ
「かごめかごめ」
「かーごーめーかーごーめー
かーごのなーかのとーりーはー
いーつーいーつーでーやーるー
よーあーけーのーばーんーにー
つーるとかーめがすーべったー
後ろの正面だ〜あれ〜?」
かごめかごめという歌がある。昔の子供が歌っていたで、この後ろの正面とは闇の中を指すと言われている。
実に不吉な歌でいくつもの呪いが込められているという。
「なんかさ、今やばい話がTwitterで出回っててさ」
あやかとひながTwitterの話をしている。
どうやら、自分のスマホから突然「かごめかごめ」の着信メロディが鳴り、それを聞いた者は死んでしまうという。
荒野行動以外に才能がないようなおバカな男子がこれを見つけて、ひなに送ってきた。
「なんかこの話キモイよねー、どうせ死ぬならあいつだったらいいのに」
あいつというのはいつも隅っこにひとりでいる山田のこと。山田は協調するのが苦手で、陰湿でマイペースなため、クラスメイトから疎外されていた。
あやかとひなは山田をいじめている。理由は特にない。ただ、やらないと自分がいじめられる気がしただけだ。
「ちょっとからかってやろー♪」
あやかがからかう。
「おい山田〜今キモイTwitter出回ってるの知ってる〜?スマホから変なメロディ流れて死んじゃうらしいよー?どうせ死ぬならキモイお前が死ねばいいのになー!ギャハハ」
山田は何も答えない。
歯を食いしばってる睨みつけてくる。
それを見たあやかは「ふふん」と鼻で笑い、
「お前なんか死んじゃえよバーカ」
といって、軽くあっかんべーをする。
翌日は週末だったためあやかとひなは山田の事は忘れて渋谷をぶらぶらとウインドウショッピングなどをして楽しく過ごしていた。
月曜日。担任が「今日は残念なお知らせがあります。山田さんが先日、自宅マンションから飛び降りて亡くなったそうです」
あやかとひなは絶句する。
あやかとひなが渋谷で遊んでいる時、
山田は自宅で自殺をはかっていたのだ。
わたしたちが殺したようなもなんじゃ………
言い表せない恐怖が襲う。
それからの2人はたいした会話もできずに、ただただ1日をぼーっと過ごしていた。
その晩あやかは夕食を食べずにベッドで寝ていた。母がご飯を食べるように勧めるが今朝のことが気になり、とても食べる気にはなれなかった。ベッドに横になり、スマホで音楽を聞いていたが、再生リストを表示しているはずの画面から急にニヤリとあざ笑う悪魔の顔が見えた気がした。
とっさにスマホを投げ出す。
自分は疲れているんだ。そう言い聞かすあやかだったが
チカッチカッと部屋の電気が点滅したあと消えてしまう。
すると突然スマホが鳴鳴り出す。
「かーごーめーかーごーめー」
このメロディってもしや…
ピーーンポーーン
長めのチャイムが鳴る。
何かイヤな予感を感じるあやか。
「はーい」
母が玄関で応対している。
「あやかー?山田さんてお友達が来てくれたわよー?」
予感が的中する。
それより山田は死んだはずじゃ!?
母があやかを呼びに2階のあやかの部屋へ向かう。恐怖でパニックになるあやか。
「あやかー?どうしたのー?お友達よー?」
母はギシッ、ギシッ とゆっくり音を立てながら階段をあがってくる。
あやかはバンッと手荒く扉を閉め、カギをかけて閉じこもる。
「もう悪い冗談はよしてよ!」
1人叫ばずにいられない。もはや立つ気力もうしない、へなへなーっと床に座り込み後ろに手を付きながら後ずさりしているあやか。
ドンドンドンッ 母が扉を叩く。
「あやかー?開けなさーい?あやかー?」
「開けないと殺すわよー?」
冷たく乾いた声であやかに告げる。
母の様子がどうみてもおかしい。
ギギギィー…………ガチャ。
扉の内鍵がひとりでに動き出し、扉が勝手に開く。
「あやかー?ちゃんといるじゃなーい?」
人間のそれとは思えない笑い顔で母はそう言った。
右手には包丁を持っている!
「きゃあああああああ!!!」
あまりの出来事にもはや何もできなきあやか胸に真っ直ぐに母の包丁が突き刺さる。
その後部屋じゅうに血が飛び散った。
部屋には気絶した母と包丁を突き立てられたあやかのふたりが重なるように倒れていた。
ふいに、血だらけのスマホが勝手に動き出し誰かにコールしている。
画面に表示されているのは
【ひな】
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