第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

10/45
前へ
/955ページ
次へ
手を伸ばしながら、声をかける。 が、次の瞬間。急に視界ががたんと揺れて、宗太はその場に膝をついてしまう。 「……へ?」 自分の身になにが起こったかわからない。 よくわからないまま首を後ろに向けると、そこにはメイド姿の銀髪少女がいた。 再三言うが、本当によくわからない状況だった。 「ーーあくまで見ているだけにとどめようと思ってましたが、こうなってしまっては実力行使に出る他ありません。なにか御用があれば、私が代わりにお聞きしますが」 「……いや、それよりなにこれ? 俺、今どうなってんの?」 「拘束しています。身長差があるので、膝をつかせることで高さは合わせてますが」 少女が言った通り、宗太の体は完全に固定されてしまっていた。 手を後ろにクロスさせた状態で掴まれているので、動かせるとしたらせいぜい指先くらいなもの。宗太の中にさらに困惑が広がる。 「痛いですか?」 そうした張本人が、いきなりそんな事を訊いてきた。 「そりゃあ、こんだけしっかり掴まれてたら」 率直に思ったことを口にする。 すると、少女は「そうですか」と言って、手の力を緩めた。二の腕が少し自由になった宗太だったが、どうしてか拘束を振りほどく気にはならなかった。 「それで、あの方になにか御用ですか?」 「用というか、ちょっと話があって」 「それなら私が聞くと言ったはずですが」 「それだと意味ないんだよ。ていうか、あの子とはどんな関係だ?」 「メイドです」 少女は当たり前のように言う。 「メイドって、今はそういうコスプレが流行ってるのか」 「コスプレではありません。正真正銘のメイド、名付けて正なるメイドです」 「なんか急にうさん臭くなったな」
/955ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加