第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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その返しに、一千夏の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。 こんな有名なキャラを知らないとは。でも今の反応で、昨日の彼女とここにいる彼女が同一人物なのがハッキリした。 「どうして昨日と今日で、話し方違うんだ?」 「……」 いきなり核心を突く。 押し黙る一千夏だったが、数秒と経たず、その態度は瓦解した。 「……はぁ~~~~、ダメだ。やっぱりこのしゃべり方はわたしには合わん。息が詰まって仕方ない」 聞き覚えのある、歳を食った話し方。 制服姿であっても、その高踏的な佇まいは昨日と変わることがない。話し方が戻った途端、なおさらそう思った。 「新しい学校では話し方から直すと仰っていたのに、もう力尽きたのですか?」 「学校ではそうするが、この男にはすでに本性が知られている。なら気をゆるめるのは当然というだけの話だ」 「気を緩めるのは構わないですが、それがデフォにならないでくださいね。人間、続けるより諦める方が簡単なのですから」 気さくに話す二人。身内感あふれる遠慮のなさが、今の会話からも見て取れる。 しかし、それはそれとして。 「なぁ。そろそろ拘束解いてくれない?」 「どうしますお嬢様?」 「……解いてやれ」 密着していた少女の体が離れていく。 今度こそ両手がフリーになり、宗太は軽く手首をまわした。 「ふぅ、ようやく解放された……」 「すまないな。こやつーー蔡未〈さいみ〉はわたしのお付きでな。つまり、見た目通りのメイドというわけだ」
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