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蔡未は箱を持ち上げて、様々な角度からそれを眺める。
一千夏はもちろんだが、蔡未も知識としては同じようなものだ。変に昔のゲームを知ってる以上、今の進化ぶりは舌を巻く勢いなのだろう。
「おお、これは外に映ってたゲームのキャラか!? でも立体的になってる! めちゃくちゃ3D!」
「めちゃくちゃ3Dってなんだよ」
ジャンプする勢いで叫ぶ一千夏に、冷静なツッコミを入れる。
店に来て数分も経ってないはずだが、宗太の顔にはすでに疲労の色が見え始めていた。
このままでは一向に話が進まない。こうして来た以上は、自分の事もきちんと説明しなければダメだ。
「じゃあ、まずなにからやればいいのか説明を……って、どこにいくのだ?」
一千夏の言葉を置き去りにしながら、足早に棚を移動する宗太。
そして目的の場所にたどり着くと、その中から一本のパッケージを手に取る。
「実は言ってなかったことがある」
後をついてきた一千夏と蔡未に、シリアス顔でそう切り出す。
「もしかして、ずっとお手洗いをガマンなされてたのですか? どうやらこの店には無いようなので、いくとしたらさっきのコンビニまで戻る必要があります。ここで待ってますので、どうぞ遠慮なさらず」
「違うわ。会った時からガマンしてたとしたら、ここに着く前にトイレいってるよ」
「そうですか」とだけ返してくる蔡未。もしかして、真面目に心配されてたのだろうか。だとしたら、わかりづらいにもほどがある。
「それはともかく、まずはこれを見てくれ」
「それはなんですか?」
「ゲームだよ。他と同じ、な」
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