36人が本棚に入れています
本棚に追加
パッケージを受け取ると、蔡未はそれを凝視する。まるで穴でも開きかねないレベルで。
「ふむ、どうやらゲームに違いないみたいだが……この表紙に映ってる女子〈おなご〉は、どうしてこんなに平面っぽいのだ?」
「二次元だからですね」
蔡未が表情を動かさず答えた。
「二次元?」
「直接的な意味だと、2D……さっきお嬢様が言った3Dと同じような意味です。奥行きがないので数字が一つ減って2D。しかし、この場合では架空の女子、という意味合いの方が正しいのかもしれません」
「架空の女子とな?」
一千夏の頭にハテナが浮かぶ。なにを言ってるのかはなんとなくわかるがやはりわからない、と言ったような顔だ。
一方で、宗太は硬直していた。まるでボディーブローでも食らったかのように。
(こいつ今、全ギャルゲーマーを敵に回す事言ったぞ)
架空の女子。それは疑いようのない事実だが、それを言ってしまっては元も子もない。
ここは説明してやる必要があるらしい。宗太の中で、メラメラと謎の感情が燃え上がる。
「ああ、そうだ。これは二次元の女子と親しい中になるゲーム……いわゆる恋愛シミュレーションってやつだ」
「そこはギャルゲーと言わなくていいのですか?」
「どうしてその名称を知っている?」
「ここにそう書いてあるので」
蔡未が指し示した先には、『ギャルゲーコーナー』と書かれたジャンルを区別するための仕切り版が置いてあった。
「ギャルゲー……つまり、ギャルを攻略するゲームという事か? というか、ギャルというのがわたしにはよくわからんのだが」
「素直にわからないと言えるのは、立派な人間であるために必要な素質です。さすがですお嬢様」
最初のコメントを投稿しよう!