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「ギャルゲーに出てくる女子はかわいい子しかしない。しかし、だからこそギャルゲー足り得るんだ。これをリアルじゃないとか言ってしまったらおしまいだ……いや、世界の終わりに等しい。ギャルゲーという男の夢が詰まったステキな世界。そんな場所を否定するなんて、それは幸せそのものを否定するのと同じではないだろうか!?」
「……熱いですね」
蔡未の返しに一瞬めげそうになるが、宗太はなんとかそれに耐える。
「人は幸せを求めてなんぼだ。そして、幸せの形は人それぞれでもある。その中でギャルゲーだけを異質と呼ぶのは、ちゃんちゃらおかしいって話だよ。それを言ったら、FPSで楽しそうに人撃ってるやつの方がよっぽどヤバイだろ」
「FPS……FPSとはなんだ? それは楽しいのか?」
一千夏はそう言って、蔡未に視線を向けた。
「ファーストパーソンシューター……操作するキャラの目線で戦ったりするジャンルを、そう呼ぶみたいです」
携帯で該当ページを開きながら、解説する蔡未。
それで納得したのか、一千夏がそれ以上、興味を発揮してくる事はなかった。よし、このままなんとか押し切ろう。
そう思った宗太だったが。
「……まぁ、内容はともかくとして……宗太さんの熱い思いは伝わりました。それで、お嬢様に合いそうな作品はありますか?」
「……えっ? 合いそうな作品って?」
「そのままの意味です。普通というものを知るために、これからお嬢様はゲームの事を勉強する。ならその師である宗太さんが、プレイする作品を選ぶのは当然ではないですか?」
困惑した。
それは果たして当然なのだろうか。しかし、まったくゲームの事を知らないなら、なにを選んでいいかわからないのは当然ではあった。
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