第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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まさかの発言。 昨日は歓喜の声にあふれていた教室内だったが、今朝は少し雰囲気が違った。 (二日続けて転校生? ……なんか嫌な予感が……) 宗太の心配とは少し違うが、他のクラスメイトも大体そんな感じだった。 そんな疑惑と期待が入り混じった空気を振り払うように、教室のドアが開く。 ピンと背筋を伸ばし、足を交互に動かすその姿はまるで歩き方のお手本を見てるかのようで。男女問わず、誰しもがその所作に見惚れてしまう。 「はい、それじゃあ自己紹介して」 「はじめまして、南條蔡未と申します。小さい頃はこの辺に住んでいたのですが、最近になってまたこっちに引っ越してきました。なるべく早く学校に慣れたいと思うので、どうかこれからよろしくお願いいたします」 表情一つ変えず、まるで台本でも読んでるかのような自己紹介。 しかし、その瞬間。教室内は昨日に勝るとも劣らない、圧倒的な熱気に晒された。 「ふぅぅぅぅーーーーー!!! また女の子だ! しかも超美人!」 「女の子か~。残念……いや、もう私完全にそっち系でもいいかもしんない」 「かわいくて面白そうなのでヨシ!」 聞き覚えのある感想があちこちから届く。宗太は内心、頭を抱えた。 どうしてお前まで転校してくるんだ? ていうか、なんで制服姿なんだ? メイドどこいった? 様々な疑問が浮かんでは消えていく。そんな中、壇上の蔡未が″明らかに″宗太の方を見て。 「……(ぐっ」 力強く、親指を立ててきた。 ……宗太はその日、女子相手に初めて本気でイラっとした。 「明らかにおかしいよな」 一時限目の授業が終わってすぐ、宗太の席にやってきた孝介がそんな事をつぶやいた。 「……ああ、おかしいな」 「どうしたんだ? もしかして体調悪いとか?」 「あながち間違いでもないかもしれん」
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