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なにを当たり前のことを、と言った風に一千夏は答える。
「いや、だって昨日はそんな素振りなかったからさ。急で驚いたというか」
「わたしと蔡未は小さい頃からの仲だ。それ以来、わたし達は一時も離れることはなかった。それは学校とて例外ではない」
「……正直言うと、もっと年齢上かと持ってた」
その瞬間、宗太は急激な寒気に襲われた。
隣を見ると、蔡未がこちらを見てるのに気づいた。正座なので余計、無言の怖さが引き立つ。
「もっと上とは、具体的にどのくらいですか?」
「あっ、その、上って言っても別にそんな変わらないぞ? せいぜい、二つくらい……」
「極刑です」
「なんで!?」
「年齢の話題というのは、体重と同じくらい女子にとってはデリケートな事なんです。極刑になっても仕方ありません」
「あ、はい、なんかマジすみませんでした……」
素直に謝る宗太。
蔡未は並べられた二つの重箱のうち、片方にお箸を突っ込む。
その中からいくつかのおかずをつまみ、小皿に置いて宗太の方に差し出した。
「まぁ、そんな話はいいです。今はそれよりも、これからの事を話し合うのが先ですから」
「それはわたしがゲームを教わるという話か?」
「はい。お嬢様が宗太さんにゲームを教わるのはもう決定した事ですが、逆に言えばそれ以外はなにも決まってません。まずはそのスケジュールなどを、綿密に決める必要があります」
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