36人が本棚に入れています
本棚に追加
蔡未はそう言うと、制服の上着ポケットからスケジュール帳を取り出す。
「ゲームを教わる以上は、まとまった時間を取らなければなりません。最低30分、欲を言えば一時間以上はほしいところですが」
「うむ、それは難しいかもしれないな」
「どうしてだ?」
スケジュール帳をパラパラとめくり、蔡未はそのうちの1ページを宗太に見せつけた。
「これがなにかおわかりですか?」
「カレンダー……でも、ほとんどに/〈スラッシュ〉がついてるな。これってなんなんだ?」
「お嬢様の習い事の日です」
「そうか、習い事か……って、これほぼ全部じゃねーか! 普通にムリだろこれ!」
そういえば、習い事のピアノほっぽり出したと、昨日そう言ってたのを思い出す。
思ってる以上に、一千夏のスケジュールは庶民のそれとは違うのかもしれない。だとすれば、この話ははじまる前から、暗礁に乗り上げていたのではないだろうか。
「そうですね、普通は無理です。ーーですが、これをどうにかできる方法が一つだけ存在します」
「どうにかできる方法?」
次に蔡未が取り出したのは、四つ折りの紙。
徐々に開いていくと、やがてそれは重なった三枚の紙に変貌した。
「それは?」
「部活の申請書です」
最初のコメントを投稿しよう!