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放課後。宗太たちは、とある場所に足を向けていた。
そこは部室棟一階の空き部屋。いわゆる部室というやつで、先の宣言通り、本当に蔡未は部を作ってしまったらしい。
「今日からここが、私たちの活動拠点です」
「あまりの展開の速さに、思考が追いつかない」
いくら行動が早いと言っても、本当に有言実行するとは思わなかった。あまりの手際の良さが、少しおそろしくもある。
「人数不足で廃部になった部があったので、タイミングよく部屋が空いたようです。私たちもそうならないように、活動と並行しながら部員集めをしていきましょう」
「えっ? そうならないようにって?」
「このままでは私たちも廃部にさせられるという事です」
開幕早々、大ピンチだった。
「でも、部室をもらったって事は、部を発足できたって事なんじゃないのか?」
「宗太さん、もしかして部活とか入ったことないんですか?」
「ああ、もちろんだとも」
自身満々に胸をそらす宗太に、蔡未が悲しそうな目を向ける。
「同情の眼差しやめろ。部活とかやったら、ゲームできる時間も減っちまうし、そもそもやるメリットが無かっただけだよ」
「……まぁ、宗太さんの事情はどうでもいいとして……部として認められるには部員が五人必要なんです。三人では同好会扱いで、部室も与えられない」
「でも、こうしてちゃんと部室があるのはなぜなのだ?」
一千夏が至極当然の疑問を投げかける。
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