第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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そばにはゲーム機とケーブルが添えられており、まるで家電量販店みたいな様相を呈しているが、ブラウン管というのは世代が全く違う。 今のゲームをつなげるための端子が、そもそも存在しない。金色端子を、昔ながらの赤白黄に戻すための変換アダプター。 とにもかくにも、まずはそれが無いと話にならないのだが。 「それもついでにもらってきた。わたしにはよくわからないが、これでゲームができるのだろう?」 「ちなみに、これくれたのなんて部活だ?」 「リサイクル部。色んな物を集めたり、修理したりする活動を行ってると言っていた」 「本当に部なのかそれは? ただのリサイクル業者の出張業務じゃね?」 蔡未に耳打ちされたと思ったら急に飛び出していって、その数分後には巨大ブラウン管を台車に乗せて運んできた。 ゲーム類は事前に部屋に持ち込んでいたようだが、どちらにせよ下準備の周到さが極まっている。こんなのは、もう逃げるとかそういった思考になるのも馬鹿らしい。 「こちらも掃除が完了しました」 そう言いながら、蔡未が近づいてくる。周囲に視線を巡らせると、まるで部屋そのものを丸ごと洗濯したみたいにピカピカになっていた。料理に引き続き、まさにメイドの本領発揮といった感じだ。 どんどん整えられていく舞台に不安になる宗太だったが、今はひとまず自分の役割を果たそうと、一千夏から端子を受け取る。 ゲーム機と端子をつなげて、電源ボタンを押す。ピッ、という電子音が聞こえ、やがてブラウン管にゲーム機のロゴが映った。 見慣れた光景。しかし、いつもと比べて画面が雑な感じがする。これがブラウン管と液晶の差なのだろうか。 「こうして見ると、やはり昔とは全然違いますね。あの頃は些細な衝撃でデータが飛ぶ事が多かったみたいですが、これならそういった事もなさそうです」 「全然違うって、それ世代的にファミ〇ン寄りだぞ」
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