第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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さわやかな笑顔を向ける彼の名前は南孝介〈みなみこうすけ〉。 成績優秀、スポーツ万能。髪をワックスで立たせただけで道行く女性が皆振り返る、絵に描いたような好青年である。ちなみにサッカー部所属。 「そういえば、言ってる間にゴールデンウィークだな。宗太はなにか予定とかあんの?」 「家でゲーム」 「だと思った。お前、そういう時に遠出とかしないもんな」 「せっかくの大型連休にわざわざ外出するとか、俺には考えられん」 当然のように答える宗太に、孝介はまた太陽のような笑顔を向ける。 「でも、それがお前の個性だもんな。俺はキライじゃないよ」 「そいつはどうも」 こんな会話をしてると、仲良くなったきっかけをふと思い出す。 あれは中学一年の時。宗太がいつものように行きつけのゲームショップに向かうと、そこに孝介の姿があった。 見ている棚は、スポーツマンらしくスポーツゲーム……と思いきや違った。 孝介がいたのは、他と比べて少し異質さを放ってるコーナー。パッケージにはかわいらしい女の子が描かれていて、耐性のない人ならその場で回れ右してもおかしくない。 だが、慣れた様子でゲームを吟味する孝介を見て、宗太の中でとある確信がはじけた。 こいつは俺と同類だーーと。 「あ、そうだ。前に宗太に借りたやつ、昨日クリアしたぞ」 「マジか。どうだった?」 「……めちゃくちゃ良くて、終盤ずっと泣いてた」 「他には?」 「幼なじみヒロインがかわいい」 「友よ」
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