第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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二人は熱い握手を交わした。人が行き交う、往来のど真ん中で。 「やっぱり、宗太もああいう幼なじみが欲しいって思うのか?」 「いや、俺が好きなのは二次元の幼なじみだから。あんな小さい頃の事覚えてる奴なんて、現実にはいねーよ」 「それはそうだけど……でも、将来結婚する約束して、それが叶う展開とか本当ヤバいよな。どうぞ末永く爆発しろって感じ」 そうしたトークで盛り上がっていると、いつの間にか学校にたどり着いていた。 だが、その後すぐ、とんでもない事態が降りかかろうとは、その時の宗太自身も想像だにしていなかったーー。 ▽ 朝のHRの時に事件は起きた。 先生の話がひと段落した矢先、ふいに発せられた一言。 「実は今日、このクラスに転校生がやってきます」 教室内がざわつく。 高校二年のこの時期に転校生というのもそうだが、それ以上にクラスをうるさくさせている要因がある。 「転校生!? よしっ、これで灰色だった俺の青春にもチャンスが!」 「どんな子だろ。もし男の子ならイケメンがいいなぁ……南くんみたいな……」 「とりあえず面白いやつならヨシ!」 一部おかしいのもあったが、そのほとんどは期待の言葉だった。 事前に聞かされないまま、当日になって明かされたサプライズ。内容はなんであれ、学生というのはそういったものに弱い傾向がある。 ただ一人を除いて。 (昨日は共通クリアしたから、今日からは個別だな。ひとまず、最初は気になったキャラから攻めてくか) 周囲には目もくれず、宗太は昨日買ったばかりのゲームの事で頭がいっぱいだった。 そうしてる間に、転校生が教室に入ってくる。思考を巡らせていた宗太が、ふと壇上に目を向けると。 「……えっ?」 そんな声が、いつの間にか口から漏れ出ていた。 先生が黒板に名前を書き込んでいく。鳳一千夏〈おおとりいちか〉。それが壇上にいる、″見知った″彼女のフルネームだった。
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