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「はい、それじゃあ自己紹介して」
「ーー鳳一千夏と言います。鳳が名字で、一千夏が名前です。至らぬ点もあるかと思いますが……その時は、すでにこの学校に慣れ親しんだ皆さんのお力をお貸しいただけると幸いです。どうぞ、よろしくお願いします」
宗太の中に、疑問が積み重なっていく。
なんだそのしゃべり方は? 昨日、ゲームショップにいた時と全然違うぞ? ていうか、どうして制服姿なんだ?
混乱する宗太だったが、その感情は、堰を切ったように広がる喧騒によって邪魔されることになる。
「ふぅぅぅぅーーーーー!!! 女の子、女の子だ! しかも超かわいい!」
「女の子か~。少し残念だけど……まぁ、あれなら私のストライクゾーンだし……」
「かわいくて面白そうなのでヨシ!」
教室のあちこちから聞こえる各々の感想。
しかし、そんな中でも、宗太の困惑が尽きることはなかった。あとこのクラス、結構ヤバいやつが多いとも思った。
昼休み。宗太はイスから立ち上がると、疑問の答えを知るために背後を振り向く。
だが。
「うわ、なんだあれ」
教室の一番後ろ。そこの窓際の席は、たくさんの人であふれかえっていた。
「ねぇ鳳さん、一緒にお昼食べようよ!」
「ふふっ」
「私たちも混ざっていい? ご飯食べながら、鳳さんの前の学校の事とか聞きたいんだよね~」
「ふふっ」
転校生にありがちな、男女を問わない一過性のモテ期。ああなってしまっては、余程の勇気がない限り近づくことはできない。
しかし、どうしてか。今の会話は、どこか違和感があるようにも思えて。
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