第1章 思ったようにいかない。それが人生という名のクソゲー

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「宗太、今から学食か? だったら一緒に行こうぜ」 「えっ?」 孝介の誘いに一瞬、返事が遅れてしまう。どうやら、いつの間にか意識が飛んでいたらしい。 二人で教室を出て、学食までの道を進む。 「……俺さ、ついに能力を手に入れたのかもしれない」 道中、不意に宗太がそうぼやいた。 「能力ってどんな?」 「妄想を現実に変える力」 「なにそれ最強すぎる。ためしにオレの好きなキャラ出してみてよ」 最初は冗談っぽく言っていた孝介だったが、宗太が本気なのを察すると、 「で、どうしてそう思うんだ?」 真面目な表情で、そう聞き返してくる。 「俺、昨日とある女子と会ったんだ」 「とある女子とは」 「着物姿の女子。ゲームショップの前で、ガラスケースとにらめっこしてる系の」 「それは……すごく興味深いな。店の前にいただけなのか? 他になにかしてたとかではなく?」 「ああ、それだけ。でも俺は今日、その女子と再会した。しかも学校でだ」 再会という言葉。転校生というサプライズ。 そして、宗太と孝介は同じクラスで、同じ出来事を経験している。それらを繋げた結果、導き出せる答えは一つしかない。 「宗太は昨日、ゲームショップ前で鳳さんと会った。で、一夜明けて、今度は彼女が転校生としてやってきたと」 「正解」 「でも、だからと言って、鳳さんが妄想っていうのがオレにはよくわからないんだが」 「だってほら、あんな見た目してるじゃん」
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