第14話 思ったようにいかない。ゆえにメイドは自らの環境に苦悩する

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瞬間、宗太の歩みが止まった。 頭の中で、秒針が音を立てて刻みだす。 そして数秒後。秒針がてっぺんを指したと同時に、チーンと音が鳴り。 「……day toの言い間違い?」 「この場合、todayの方が文法的に正しいかと。それでも『今日』とか、全く意味がわかりませんが」 至極当然のツッコミだった。 だが、本当のところは宗太にもわかっていた。 これまで何度か部の女子メンバーと歩いた事はあるが、それらは大抵、他のイベント事が重なっていた時だった。 しかし、今回はまぎれもないデートそのもの。おまけに、蔡未の方はいつもとは違う私服姿。 こんなのを見せられては、否が応にも特別感を感じてしまってならない。 「しかし、宗太さんの気持ちもわかります。私のようなメイド脳の女子と出かけても、全然デートっぽくありませんよね」 「一応、その自覚はあるのか……いや、そんな事はないぞ。一応、俺もわかってはいるんだ、これがデートだっていうのは」 「そうなのですか?」 「じゃないと、あんな風に店入ったり、なにか食べたりしないだろ」 「……つまり、一度経験しているからこそ、ああいうのがデートっぽいと宗太さんはそう思っていると?」 わずかにトゲを感じる発言。 が、それを蔡未自身も感じたのか、すぐに発言を訂正しにかかった。 「いえーー少し言い方を間違えました。前に皆で出かけた時の経験があるからこそ、宗太さんなりにデートを演出してくださったという事ですよね?」 「なんか勝手に称賛されてるが……そこまで大層な話じゃないよ。結局これも、俺が蔡未とやりたい事をただやってるだけだしな」 「それなら、『私に一日ご主人様と呼ばせる』とかの方が良かったのでは?」 「お前の中の俺のイメージって一体どうなってんの???」
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