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言葉を濁す宗太。
だが、孝介はすぐ思い当たったように。
「要するに、かわいいからか」
「あくまで、俺の認識してる顔面偏差値レベルでの話だが」
理屈っぽい物言いは変わらない。しかし、だからこそ、それだけ自分は動揺してるのだと暗に伝えたかった。
そして、その思いは無事、目の前の相手にも伝わったようで。
「ならとりあえず、声をかけてみるべきだな。大丈夫、もしもの時はオレがフォローするから! 親友なめんなよ!」
「……あー、うん。ありがとう」
どうやら伝わりきれてなかったらしい。
でも、結局はそれしかないのだ。このまま真相を明らかにしないままでは、モヤモヤが続いて夜も眠れそうにない。
宗太はそんな事を考えつつ、昼休みを過ごした。正直、学食でなにを食べたのか覚えてないが、うどんののど越しだけはかすかに覚えている。
そして、あっという間に時間は進みーー放課後がやってきた。
「……」
宗太は自分の席で、今か今かとタイミングを見計らっていた。
しかし、想定外の事が起きた。放課後になっても、一千夏の席が人で埋まっていたからだ。
「鳳さん、今日って予定ある? 実はこの後、鳳さんの歓迎会もかねて皆でカラオケ行こうって話になってるんだけど」
「すみません。お気持ちはうれしいのですが、今日は早く帰らないといけないので。また後日、都合が合えば参加させてもらいますね」
「そうなんだ~……なら仕方ないね。じゃあ、今日カラオケいく人、あとで店集合って事でいい?」
(えっ、歓迎する当人いないのにカラオケは強行すんの?)
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