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当時、被告は入浴の際に剃刀を使い回すと言う行為において肝炎ウイルスが感染する可能性を認識し、又は認識することが十分に可能であり、本件入浴を実施するに当たっては
一人ごとの交換、又は徹底した消毒の励行等を各矯正施設に指導しC型肝炎ウイルスをみぜんに防止すべき義務があったにもかかわらず、これを怠った過失がある。被告は国家賠償法1条1項による責任を負う。
訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的な証明ではなく経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しえる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちえることを必要とし且つ、
それで足りるものと解すべきである。
民法724条後段所定の除斥期間の起算点は「不法行為の時」と規定されており、加害行為が行われたときに損害が発生する不法行為の場合には、加害行為の
時がその起算点となると考えられる。
しかし、身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害されることによる損害や、一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病による損害のように、
当該不法行為により発生する損害の性質上、加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には、当該損害の全部、又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである。
C肝特措法、B肝特措法の除斥期間が延長されたのは、上記損害の性質を考慮したものと解されるべきである。
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