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突然、亮の事を意識し出して広重は戸惑う。
亮から迫られていたときは、逃げることばかり考えていたのに、今頃になって亮を意識するのはムシが良すぎると思った。
なんなんだよ!
亮をフッたのは俺だろ!
諦めて。なんて言っておきながら、何今更亮とのキスを思い出したりして、バカじゃねーの!
悶々としていると、村瀬が広重の背後から頭を叩いた。
「ごらぁッ!何上の空してんだよ!仕事中に妄想全開してんな!」
村瀬のセリフに会議室にいる全員が爆笑する。
広重は恥ずかしくて俯く。
妄想全開って!
確かにそうだけど、もう少し言い方ってあるだろうが!
広重は恥ずかしくて顔をあげられない。
「とりあえず、御笠珈琲の滑り出しは申し分ないと思われます。フードメニューに関しても評判は良いようです。1ヶ月様子を見て、バレンタイン商戦にまた結果を出したいと思います」
亮の報告に、部長もホッとしたようだった。
なんとかチェーン展開に持って行き、全国区に広めたいと思っていた。
「これからも吉国、道明、頑張ってくれ」
部長の言葉にふたりは返事をした。
これが成功すれば、ふたりのステップアップも間違いなしだった。
「大丈夫かぁ?急におかしくなってさ。仕事集中してくれよ」
亮はそう言うと、部署に戻って直ぐにデスクで仕事を始めた。
その姿を見て、広重も負けていられないと思った。
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