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自分の部屋に帰ると、広重は自己嫌悪に陥った。
どうしても亮が浮かんでしまう。
どうして急にこんなに気になるのか分からなかった。
亮とのキスを思い出すと、亮の香りまで思い出してしまう。
犬神さんとの事を決着がついて、もう男を好きになるなんてないって思ったのに、なんで今更、亮が気になるんだよ!
違う!
俺は今までみたいに女の子と付き合いたいんだよ!
ここ数ヶ月が変だったんだ!
言い聞かせても浮かんでくるのは亮の顔。
しかも、自分のペニスを口に含んだ時の顔まで思い出してしまった。
やめろ!
俺、変態じゃないか!
ただの欲求不満じゃないか!
なんでッ!
消そうとしても亮が消えない。
気持ち良かった感触が蘇るばかりだった。
またして欲しい。
それはただ快楽を求めてなのか、亮だからして欲しいのか分からなかった。
【起きてる?】
つい広重は亮にらいんを送ってしまった。
ヤバイと思い取り消そうとしたが、既読が付いてしまった。
【起きてる】
亮の返事に広重はドキドキする。
【眠れなくてさ】
広重が送ると、また直ぐに既読。
【子守唄でも歌ってやろーか?】
それを読んで声が聞きたくなった。
広重は亮に電話をかける。
『なんだよ。どうした?』
亮の声を聞いて少しホッとする。
「うん。ちょっと、考え事してたら眠れなくてさ」
嘘はついていないと広重は自分に言い聞かせる。
『今度はどんな悩み事?』
亮の声が少しだけ怒ってるように聞こえる。
「ごめん、迷惑だったよな!切るよ。おやすみ」
『待てって。迷惑とかじゃねーよ。恋愛の悩みかと思ってさ。そう思ったら、ちょっと不機嫌になっただけ』
亮の言葉に広重はホッとした。
「恋愛とかじゃないよ。仕事でもないけどさ。なんか気持ちがモヤモヤ?」
訳がわからず亮は黙っている。
「‥………………違う。恋愛の悩みかな」
広重の言葉に亮はため息をつく。
『好きな女でも出来た?』
やっぱり亮は不機嫌な声を出す。
「好きって言うか、意識しちゃうと言うか」
煮え切らない言い方に亮は余計イライラする。
「まだ好きって言えないんだ。でも、浮かんで頭から離れない」
『それって、好きって事だろ。良かったじゃん、好きな相手みつかって。心配して損したよ。じゃあね。おやすみ』
亮は広重の言葉を聞く前に電話を切ってしまった。
広重はため息をつく。
気になる相手を怒らせてしまっているのが、どうして良いのか分からない。
気付きたくなかった気持ちが半分ある。
でも、まだ好きとは言い切れなかった。
だが亮を性的な目で見ていると思った
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