act.01

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act.01

一年前の冬、山蛇さんに出会った。 俺はその時高校三年生だった。 「悪い!頼むよ、入間(イルマ)!…ちょっと俺忘れ物しちゃって…」 「…やばいところに携帯忘れから取りに行けって…?」 クラスメイトに頭を下げられてしまえば、お人好しの俺には話しも聞かずに無理とは言えなくなってしまった。そうは言っても、ヤクザの出入りするクラブに携帯を取りに行けとは… どうやら、そこのクラブで揉め事を起こしてしまったらしく、どうにも自分では取りに行けないとのこと。 その時は、俺はまだ世の中の怖さを知らなかったのだ。飯も奢るから!と言われてしまえば、じゃあいいか、なんて思ってしまったのだ。 まあ、今となっては、それが良かったのか、悪かったのかはわからない。 「それで君のお友達がやらかしてくれたみたいだけれど…どう落とし前をつけるつもりなんだい?」 「…おれは……」 「彼が僕たちに何をしたのか知っているかい?」 黒髪に真っ黒のスーツに身を包んだ男。その瞳はまるで闇だ。深い闇。 俺を見つめる瞳は、俺を映していないように見える。長い脚を組んで、ソファに深く座っているヤクザの組長と思われる男は随分と若く、二十代前半と勝手に推測する。しかし、二十代前半にしては、背負っている闇が重すぎる。 「…いや、なにも聞いてないです」 ソファの周りに立った屈強な男達の眼光が鋭い。 「万引き窃盗強姦エトセトラ…両手では足りないよ。それで君は、どういうお友達なんだい?お仲間?」 「いえ…俺は、ただのクラスメイトで…忘れ物をしたと聞いて…」 「ふうん?じゃあ、君は可哀想な生贄な訳だ。」 あの野郎…どうやら俺は騙されたようだ。この状況をどうすれば抜け出せるのか全くもってわからない。俺は、生贄…? 「かわいそうだけど、逃す訳には行かないね」 闇に鈍い光が灯って、俺はその光に囚われてしまった。 じゅぷ…じゅぷ…と口内を熱い肉棒が暴れまわっている。 「ん”…ふ、ッ…ン”…」 頭を押さえつけられて、鼻が男の金色の陰毛に埋まる。…髪は黒髪だから、地毛はもしかしたら金色なのかもしれないなんて邪推をしてしまった。 「ン”…ッ、が、ァ”…んん、ン”ッ…」 苦しくて、嘔吐く度に生理的に涙がでてきてしまう。吐く喉の動きをする度にペニスを喉奥で締め付けてしまい、熱の形がはっきりわかるほど呑み込んでしまった。 「はー、最初へったくそだったのに、こんなに咥え込んでくれちゃってさあ…」 ソファに悠々と座り、スラックスの前だけを広げて、俺にイラマチオさせる男に腹が立ち、一瞬このチンコを噛み切ってやろうか、と逡巡するが多分そんなことをしたら、周りにいる男達に殺されて終わるだろう。 「ね、そろそろこのお口もマンコみたいになっちゃったんじゃない?」 「君、Domでしょ?こんなことされて、屈辱だよねえ、普段はこういうことをする側だもんね」 「ん、グッ…は、はッ俺は!死んでも『する側』になんてならねえ…!」 抑えられていた手を思いっきり振りほどき、入りきらないほどのサイズの肉棒を口から吐き出し叫ぶ。俺は、自身のDom性なんかに…負けたくはないのだ。 「…へえ、じゃあ『される側』、味わってみよっか」 そう言って、男が手を伸ばした先は、俺のケツだ。ズボンの上から俺の尻穴をぐりぐりと押されても、気持ち悪いだけで、やめてほしいという感情しか湧かない。 「いやだ、やだッ…」 「でも、『する側』は嫌なんでしょ?じゃあもう、女の子になっちゃった方が君も気持ちいいし、いいんじゃないかなあ…アレもってこい」 そう言って、部下に指図した男は俺の上半身を持ち上げて、ソファに押し倒した。ソファが元々一人用のものなので、背凭れに体重を預ける形になるが、足を折り曲げられた状況は完璧にМ字開脚と言えるだろう。 じたばたと暴れても、周りの男達が俺を押さえつけて離さない。腕は頭上でまとめ上げられ、足は太ももと足首が固定されてしまった。 ついには、俺のズボンは男によってハサミで着られ、下半身が靴下だけ履いている状況になる。 「やめ、ヒ…」 男の部下が持ってきたローションをかけられ、どっぷりとした液体が尻穴を伝い、ソファに落ちていく。男の長い指が、俺の入口を押し込むように触り、硬い門はゆっくりと開いていく。 「んぐ、ッ、あ、むり、だッって…」 「無理じゃないよ、大丈夫。安心して、しっかり挿れられるようにしあげるから」 なにも安心できねえよ!!そう心はこんなにも叫んでいるのに。尻穴の違和感に喘ぐような音しかでてくることはない。 「んぐ、ぐ、っう、ぅ…」 「ほら、一本入ったよ、こんなに早く入るなんて才能あるんじゃないかな…」 どんな才能だよ、そんなもんいらねえよ…泣きそうになるのを堪えて下唇を噛む。すると、男は下をいじっていない方の指を、俺の口に突っ込んだ。 「良い声なんだから、噛んだりしちゃダメだよ、もっと聞かせて?」 「あ”、ア、」 じゅぷ、ぐぷ、と次から次へと足される冷たいローションといじっているものが増えて奥にどんどん進んでいく感覚におかしくなってしまいそうだ。 「そろそろ、見つかりそうなんだけど…」 「ん、にがァアアアアッッ!?」 「…君の良いところ、見つかって良かったねえ」 トントン、と粘膜の内側を押すように突かれるとその度に腰が浮く。女のような声が出て、その度に目から涙が溢れてしまう。こんな風に喘ぎたいわけじゃないのに、身体が熱くてたまらない。 「ア、あ、アアッ、ッ、ッんあッ!」 「気持ちいでしょ?ココが君を雌にするスイッチだよ、ホラもっと喘いで」 「も、やッ、だあッ…むり、むりィ…んあ!アァッ…!」 粘膜を広げるようにして、動く指たちに腰が逃げる。それでも、背凭れによって逃げることのできない俺は、そのまま甘んじて快楽を受け入れるしかなかった。じゅぷ、ぐぷと卑猥な音を立てて広がっていく俺の尻穴はまるで… 「本当に、マンコみたいだね」 「ま、んこ、じゃッ、ァ、な…ッッ!」 三本も入った指は、二本は広げるように、あともう一本は前立腺を執拗に押している。押されすぎて、前立腺が先ほどよりも腫れているような気がしてならない。膨れ上がった前立腺を指先で抉るように押されてしまえば、腰がビクついて止まらない。 「勃ってるね、かーわいい」 「ッ、な、んで…」 完全に勃ち上がった屹立は、カウパーをだらだらと流しており、鈴口がヒクついている。そこを指で尿道をほぐすように触られる。痛いほどの快楽が俺を襲う。 「こうやって先走りをだらだらさせてさ…でも今日は挿入できないで終わるんだよ、このチンコ。かわいそうにねえ…」 「ぅ、んく、ァ…ッ、はあッ、あ…」 「君、名前は?」 「ッ…ん、あ、ゅ、しゅんぺ…」 「挿れるよ、シュンペイ君」 「アアッ!?ッあ”あ”あぁぁッ!!」 焼き付くような痛みと、それを上回る快感に一瞬意識が飛んでしまった。打ち上げられた魚のように浅い息を繰り返す。粘膜はごりり、と押しつぶされて挿れられた後孔は今にも破けてしまいそうだ。 「い”だぃ…ッ、あ…ッッ…」 「本当に?痛いだけ…?」 痛いだけ、痛いだけのはずなのに、なんでこんなに頭が真っ白になるほどにトんでしまうのかわからない。太く長い肉棒が前立腺に当たっているのがわかる。馴染むためか、動かずにの腰を力強く掴んで、ゆっくりグラインドされる。その丁寧な抽挿が余計に骨盤に響いて、頭がおかしくなってしまいそうだ。 「も、もっとッ、激しくシて、ッっほし…」 その意図していないハズの命令に男は、素直に従った。それはまるでSubのように。 「ハッ…ハ、はは…たまんないなァ…」 興奮しきった男が腰を激しく打ち付ける。骨盤同士が打ち付けられて痛いのに、それすらも快感だった。 「ん”ぁ”ッ……っあ、ぁあ、ィ、」 「俊平く、もっと命令して、よッ!」 「ヒィッッ……!ん”ぁッ、な、ン……ッ」 腕の動きを制限する手錠。ガチャガチャと頭の上で金属の音が鳴る。上からプレスするような突きに、胃が押し上げられ体内を全てを征服されてしまった。ごぷりと、腸液が溢れて身体全体でもっとくれ、と叫んでいる。 「ね、君のココ、降りてきてるねッ…ッ、このナカ挿れたら、もっと気持ちいいんだろうなあ…ッ、」 ココ、と指をさしたのは臍の少し下あたり。長い指で外から押されるだけで、結腸の奥まで感じ入ってしまう。質量を増す熱が突き上げを更に鋭くし、降りてきた結腸口をこじ開けようとしている。 ぐぷ、ぐぷ、とローションと腸液がデロデロに混ざった液体が空気を含んで耳を犯す。やめて、やだ、駄目と、訴えているのに俺の体内は虐められ続ける。男が掌で下腹を思いっきり押し込んだ弾みで息んだ。 その瞬間、臓器がごぽぉ…というしてはならない音が鳴る。熱く太い竿が結腸を貫き、肉襞が亀頭を美味しそうに飲み込んでいる。 「ッ”、…グッ…ン”、ハ…ッ、…ッ…」 喉が締まり、息が吸えない。視界がチカチカと点滅して身体が小さく痙攣している。腰が震え、息を取り込めないのに、熱く熟れた粘膜はもっと、もっととねだってしようがない。もういらない、いやだ、そう言っても身体は心と反して、もっとちょうだい、やめないでと訴えている。 ぐぷり、ぐぷり、という生々しい音を他人事のように聞きながら、やっと落ち着いた視界で男の顔を映した。俺を無理矢理犯している憎い男なはずなのに、こんなにも必死に俺を貪る男が愛おしくて堪らない。 自然と口角が上がり、涙腺が緩んだ。 「アァ、んあ、ナカにッ、ッ、…んあ、出せ…ッ」 そう言うと、一瞬驚いたのかぴたり、と動きを止めた男が俺の顔をまっすぐ見つめた。その美しい顔を幼い子供のように綻ばせる。 「仰せのままに」 「ヒ、んあ、あ”、あ”、あ、ンア”アッ、ッア!!あ”ッ、」 浅いトコロを小刻みに抉られたかと思えば、綻び欲しがりな奥を貫きそのままカウパーを擦り付け、マーキングするようにピストンされ、翻弄される。一瞬でも殻が離れてしまうのが寂しくて、両脚で男の腰をホールドする。男は俺の背に腕を回して俺と男の距離はゼロになった。 一際大きく鋭い突きの直後熱い精液が体内出されたのがわかる。結腸の奥が熱く、火傷してしまいそうだ。 「ァ…ッ、は、ぁ”…」 「ッ、はー、ッ」 余韻が抜けず、痙攣が止まらない。それでも、俺には言わなきゃならないことがあるんだ。それだけははっきり覚えている。 「…ッ、んあ、は、…ぐっどぼーい…」 俺の視界いっぱいに嬉しそうな顔をする男が広がっていたが、それは一瞬のことで直後、暗転した。
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