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「へぇ、おまえ『私』が見えているのか?」
ギクリ、と冷や汗が流れる。
「いや、その様子だとただ見えているだけじゃないようだ。おまえ、随分と面白い瞳を持っているな?」
獣のカタチを取った黒い塊が表情の無い人形のような女の後ろで立っている。その中心にあるギョロリとした金色の瞳がニタニタと悦に浸りながら俺を見下ろしてくる。この塊が、この化物の本体なのだろう。
「なんだ。ずいぶんと肝の据わった小僧だな。普通、驚くと思うんだが・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・。不本意ながら慣れているもんでね」
拍子抜けしたようなその声に俺は溜息が零れる。
(面白い瞳、か・・・・・・)
俺からすれば面白くもなんともない。俺は普通でいたかった。
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