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救急車が到着した。
少しばかり気になることがいくつかあるが、部外者である俺にはこれ以上何も関係ないことだ。さっさと退散しようとすると、首根っこを捕まれた。誰に。いや、誰と言われなくても分かっている。
「きみが第一発見者なんだ。いてくれないと困る。それに見たところ怪我をしているようだ。ついでに手当てをしてもらおうじゃないか」
『化物』に言われ、ようやく肘の痛みに気付いた。どうやら黒い腕に足を掴まれたときに擦ったようで血が滲んでいる。
「こんなのかすり傷ですよ」
「分かってないなぁ、きみは。私は着いてこいと言っているんだ。それとも、喰われたいのか?」
ぞわっと悪寒が背筋を走る。喉元に爪を突き立てられたように息苦しい。
そんなの実質一択だろ。
露骨に顔をしかめてやると『化物』はくくっと、さも愉快そうに笑った。
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