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◇・◇・◇
「そこの待合室でお待ちください」
看護師に待合室に案内され、俺たちはソファに腰掛けた。今から女子生徒の検査をするらしい。病院独特の雰囲気に大した怪我もしていない俺がここにいるのはひどく場違いな感じがしてしまう。なにより。
(『声』がうるさい)
生と死が入り交じる空間だからだろう。外にいるときよりも明け透けな『声』が目立つ。聴いているだけでその思考に怖気が走るようなものまである。
居心地の悪さに辟易していると『化物』は口を開いた。
「きみはあの踏切について何か知っていたりするのかい?」
「まぁ……」
『化物』は俺の返事にほう、と頷く。
「その話について聞かせて貰っても?」
この『化物』は一体何を考えているのだろうか。
『開かずの踏切』のことを知ったところで関係ないというのに。
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