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俺が訝しそうに見ていたからだろう。『化物』は言葉を続けた。
「暇つぶしだよ。どうせ、あの娘の親が来るまで時間があるだろう?」
暇つぶし。確かに暇だ。何もせずに時間を食い潰すよりはよっぽどマシだろう。ただこの『化物』の手のひらの上で上手く転がされているだけのような気がして釈然としない。
(でもこれ、言わないと解放してくれないやつだな)
俺は今日で何度目かになる深い溜息が口から零れた。
「別によくある噂話ですよ。あの踏切は元々、地元で有名な自殺スポットで、その踏切で去年の十二月に自殺した女子生徒が自分を自殺する羽目に陥らせた人間に復讐するために同じ学校の生徒を踏切に引き込もうとしているっていう」
「ふーん。ならあの女子生徒は偶然引きずり込まれただけか」
「いや・・・・・・」
『ああ、やっと捕まえた』
黒い腕はそう言っていた。
ようやく罠にかかった獲物に喜ぶ声からしてあの女子生徒を狙っていたのだろう。だけど、
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