【第1譚】開かずの踏切

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(それに対して腕の数がおかしくないか?) 自殺した女子生徒は一人だったはずだ。それに対する腕の数があまりにも多すぎる。 確かにあそこは自殺スポットで有名だ。今まであそこで自殺してきた悪霊がいても何らおかしくない。ただ、仮にあの腕が今までの自殺者だとしても、自殺した女子生徒に協力するメリットはあの腕にあるのだろうか。 (もしくは、それほどまでにあの女子生徒に死んで欲しかったのか) 踏切を渡る寸前で見た女子生徒が脳裏に浮かぶ。踏切警報機の前でしゃがみ込み、お手製の花瓶の前で祈るように手を合わすあの姿。 (何かが引っかかる。何に?) ――――・・・・・・ちゃん。 「なんだ、話の途中で考え事かい?」 『化物』の声に現実へと引き戻された。
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