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「どうして?」
そんな純粋に意味が分からないみたいな顔をしなくても。いや、『化物』だから仕方がないのか。
「誰が好き好んで怪異に関わる真似なんかしないといけないんですか」
「んー?おかしなやつだな?どの道、その『瞳』を持っている限り、きみは怪異や怪奇から逃れることは出来ないんだぞ。君自身が『覚と言う名前の怪異』なのだから」
それに、と『化物』は続ける。
「幾ら他人の声を遮断する眼鏡をしているとはいえ、完全に遮断出来ている訳ではない。人が多い場所でその瞳はさぞかしキツいだろう?私の元へ来るのはせいぜい一人か二人。人とあまり関わりたくないきみにもちょうど良い環境だと思うけどね?」
確かに『人の心を読む』という体質ゆえに今日の病院のような人が多い場所は苦手だ。幾ら眼鏡をしていても、すれ違う距離まで近付けば普通に心の声が聞こえる。それでも。
「大体、俺みたいな半端物じゃなくて、ちゃんとしたヤツに頼めば良いじゃないですか」
『化物』の顔からすん、と表情が抜け落ちた。
「『怪異殺し』に協力してくれるヤツがいるとでも?」
あ、ヤバい。地雷踏んだ。
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