【第1譚】開かずの踏切

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茜色だった空は瞬く間に地平線へと沈む。 茜と赤と紫に黒が混ざり合っていく。 ――――・・・・・・ちゃん。 空耳だろうか。誰かが呼ぶ声に振り返ると手を合わせていた女子生徒が踏切を渡り出していた。いくらここが自殺スポットで有名とはいえ、自殺さえしようとしなければただの踏切だ。普通に使っていても問題ない。だが・・・・・・。 (おかしくないか、あれ) その生徒の歩き方は手足に紐を結ばれたマリオネットのように身体が左右に大きく揺れている。踏み出す一歩が大股だったり、小股だったりとチグハグで足取りが不安定だ。 (まるで、何かに操られているような・・・・・・) そこまで思考を巡らせていると線路の真ん中で女子生徒は立ち止まった。カンカンカンと警報機が鳴る。その音は女子生徒が踏切から立ち去るのを急かすというのに肝心の本人は動く気配がない。 「おいっ!」 思わず、叫ぶ。 だが、女子生徒は空を見上げるだけだ。
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