星の砂の恋

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cb012f45-8fad-4406-ab02-2d5d585075c4 あまり嬉しくもない誕生日のお祝いに そして少しだけ自分へのご褒美に 自分でネックレスを買いに来た。 これまで女として生まれたことさえ 恨めしく思っていたアタシが あの小瓶の手紙、 そしてあの出会い系の掲示板に出会ったことで 少なくとも 闇夜に浮かぶ小っぽけな 一つの星くらいの光を求めるようになった。 久しぶりに天神のデパートの宝石店を いくつか見て回り 三箇所目の少し小洒落たお店で ネックレスを見ていた時だった。 宝石店には不釣合いなアタシと同じ位の年頃の男性が一際(ひときわ)目立った。というよりも浮いていた。 その男性は一人で指輪を探していたようで 「あの…星がついた指輪とかありますか?」 少し低めの優しさが詰まった声でそう女性の店員に尋ねた彼。 −––−–––『星が付いた指輪』? その瞬間、あの小瓶のことを思い浮かべた。 3つ並べられた中から彼はダイヤと真珠と星が付いたゴールドの指輪を買い、恥ずかしそうに急ぎ足で店を出た。 703913bb-4e2c-4d27-8aff-72f094634f31
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