55人が本棚に入れています
本棚に追加
あまり嬉しくもない誕生日のお祝いに
そして少しだけ自分へのご褒美に
自分でネックレスを買いに来た。
これまで女として生まれたことさえ
恨めしく思っていたアタシが
あの小瓶の手紙、
そしてあの出会い系の掲示板に出会ったことで
少なくとも
闇夜に浮かぶ小っぽけな
一つの星くらいの光を求めるようになった。
久しぶりに天神のデパートの宝石店を
いくつか見て回り
三箇所目の少し小洒落たお店で
ネックレスを見ていた時だった。
宝石店には不釣合いなアタシと同じ位の年頃の男性が一際目立った。というよりも浮いていた。
その男性は一人で指輪を探していたようで
「あの…星がついた指輪とかありますか?」
少し低めの優しさが詰まった声でそう女性の店員に尋ねた彼。
−––−–––『星が付いた指輪』?
その瞬間、あの小瓶のことを思い浮かべた。
3つ並べられた中から彼はダイヤと真珠と星が付いたゴールドの指輪を買い、恥ずかしそうに急ぎ足で店を出た。
最初のコメントを投稿しよう!